Tuesday, September 30, 2014

感動したことは忘れない!


今日の授業:パスカルの三角形と二項式の展開公式の関係について。
 
目標は(x+y)^3の展開公式を覚えてもらうことであった。
 

まず最初の5分でパスカルの三角形を紹介。
最初の3段を書いてから、4段目を生徒に予想させる。
といっても、”細胞分裂のように“とヒントはいっていたので、4段目から正解を書ける生徒も結構いた。
5段目、6段目と一段ずつ予想させては答えを示すことを続け、
9段目の頃には全員理解できていた。


9段目まで完成させたパスカルの三角形を黒板の左側に残して、右側に移動。
(x+y)^nの展開に入る。 
まず生徒に(x+y)^3の展開をさせる。
計算ミスをする生徒も結構いるが、問題を出してから2分後くらいには黒板に正解を書く。
 
次に(x+y)^4も展開させてみる。
ここで計算ミスなく展開を成功させた生徒に“感動した??”って尋ねるも返答は“No!”
うーん、案外直前にやったパスカルの三角形との関連性には気付かないものらしい。
4乗の展開の正解を黒板に書く。

次は5乗。
ここからは計算ではなく予想させてみる。
そして少し間をおいて正解を黒板に書いていく。これを繰り返す。
5乗の段階では殆どの生徒は予想を外していた。

かまわず次に(x+y)^6を予想させる。
数人はパスカルの三角形との関係に気付いてくる。
このあたりで“感動した”って答えてくれる生徒が出てきた。
でもまだ半分くらいはパスカルの三角形との関連性に気付かず、正解をかけない。
とはいえ、係数はわからなくてもxとyの部分と項数はちゃんと書けるようになってきているからあと少しの辛抱かな。


(x+y)^7で再び予想させてみる。
ヒントとして、あと2度しかパターンに気付くチャンスはないことを生徒に伝える。
何しろ黒板にあるパスカルの三角形は9段目までしか完成させていないからだ。
(x+y)^nの展開も8乗で(9段目に対応)ストップするつもりだった。
ここまで私は黒板の左側をみることなく右側に正解を示してきたが、
今度は私ではなく一人の生徒に前に出てもらって答えを書いてもらった。
私とちがってこの生徒は黒板に書き残してあったパスカルの三角形をちらちら見ながら答えを書いていったので、それをちゃんと観察していた生徒数名は秘密を理解した。

そして最後に(x+y)^8の展開式を予想させた。
殆どの生徒が理解して正解を書けていた!
しかし何と2人ほどまだパターンに気付いていなかった!
もう一度、7乗あたりで秘密に気付いた生徒を前に呼んで、答えを黒板に書いてもらった。
前の生徒よりもわかりやすい仕草でパスカルの三角形を見ながら答えを書いていく。
2人のうち1人は関係に気付いた。
しかしまだ1人気付かない!
最後にまた別の生徒に秘密をクラス全員に説明してもらい、最後の一人もちゃんと関係を飲み込めた。

 


今日の授業は面白かった。
私の予想に反して、案外生徒はすぐにはパターンに気付かない。
でも今回は最後まで私の口から関係を言わずに、生徒に予想させることに徹した。
それによって、徐々に生徒達が理解していく様子がよくみることができた。

既に二項定理を知っている人、直ぐに関係性に気付く生徒、中々気付かない生徒。

あぁ、理解までにかかる時間にかなりのばらつきがあるのだな、と驚いた。
これは今後の授業準備で参考になる。

でも最後には全員理解してくれた。
今日の授業はあまり知識を与えてはいないけど(二項定理だけで応用も何もない。組み合わせも使ってないから二項定理の一部だ)、自分で発見し感動することを与えられたと思う。
パターンの認識のトレーニングにもなったかな。

自画自賛になるけど、今日の授業はうまくいったと思う。
きっとみんな今日の授業内容は忘れないのではないかなと思う。
 
毎回できるわではないが、できるだけ沢山生徒自身に発見させ、感動を味わわせるような授業を行いたい。
毎回やると授業で叩き込める知識量が少なくて、シラバスをこなせない気がする。
少なくとも今の私の力量ではまだ無理だろう。
生徒に多く感動させて、授業外時間に自ら数学にどんどん取り組むように持って行くだけのパワーを身につけなければな。
 
ふぅ、これを一通り書きおえて、ふと思った。
今日の授業で一番感動したのは生徒ではなくて私自身だったかもしれないな。
 
 

Monday, April 7, 2014

95%はデジタル、5%はアナログ、という見方。

10ドルの買い物をするごとにスタンプ1個もらえる店が近くにある。
スタンプが100個あつまると20ドルの商品券になる。

私はここでは頻繁に買い物をしないのでスタンプ100個集めるのに3年くらいかかる。
今日は29.50ドルの買い物をした。
スタンプのルールは四捨五入ではなく10ドル未満の端数は切り捨てだから
私がもらえるスタンプの個数は2個ということになる。
30ドルにかなり近いから3個くれないかなぁという淡い期待もあったが、
今日は3個もらうことができた。

スタンプを3個分押したレジ係りはルールを破っていることになるだろう。
しかし間違った行動とはいえない。
そもそもスタンプのシステムはサービスで、客を常連客とする狙いがあるからではなかろうか。
ここでスタンプのルールを徹底すると、毎日私のようにあとわずかでスタンプが1個増えるような金額の買い物をする人が沢山いるはずだ。その彼らに融通の効かないレジ係り、ケチな店だという印象を与えてしまう。これでは何の為のサービスだか分からなくなる。
もしかしたら、~9ドルの時に、1ドル程度の商品を追加させる効果があるかもしれないが、たかだかスタンプ1個のために余計な買い物をする人がどれほどいるのか?私もそんなことをしたことが学生時代にはあったが、今はしないだろう。何しろスタンプは100個で20ドル、1個は20セント以下の価値しかない。

だからグレーゾーンがあるのだろう。端数が9ドル以上だったらスタンプを押すといったようなどこにも書かれていないルールが。もしかしたら今日のレジ係りの独断、個人的な考え、善意によるものかもしれない。いずれにせよ、ここで3個押してもらえるのは、得をした気分になるし、個人の善意によるものならば尚嬉しくなる。スタンプ1個は20セント以下の価値だけど、こういう好意を受けることによる喜びの価値はそれ以上だと思う。だから私は再びこの店に足を運ぶことになるのだろう。

レジ係りが人からコンピュータに取って代わられたところもあり、これからその変化は進むかもしれない。しかしコンピュータによる自動化となると、好意を受ける機会が無くなってしまうわけで、我々消費者にとってはあまり歓迎すべき変化ではないと思う。

ところで、私が学校の教師として、成績をつける立場にある。
私の成績のつけ方は前出のレジ係りのやり方に似ていてグレーゾーンが存在する。
すなわち、合格ラインに僅かに届かない生徒の成績の扱い方において、成績算出計算法から外れたことをすることがあるのだ。
スタンプをあげないほうが、今後の指導に良いこともあるが、
逆にスタンプをあげたほうが、うまくいくこともある。
宿題点、テスト点などの数値だけで学生の能力を100%判定できるはずもなく、
境界線ギリギリのところでは、人間の判断力、人情、そういった潤滑油があるほうが良いと私は思う。

結論:
100%デジタルで処理できることでも、5%くらいはグレーゾーンを設けて人間的な処理をする方が効果的なのではなかろうか。スタンプは10ドルの5%は50セントだから、今回の私は5%灰色ならば、スタンプをもらえる。29.00ドルしか買っていなかったらもらえなかったということになる。大量に処理すべきことや曖昧さが許されない事象に関しては全てデジタル処理すべきだろう。統計学に登場する有意水準の設定が我々の経験や判断によるように、グレーゾーンの幅もケースバイケースで決めていくのがいいと思う。私の経験ではスタンプのグレーゾーンは10%より大きいのだが、レジ係りによりけりといったところだ。私の成績をつけるときのグレーゾーンの幅は...秘密です。






Thursday, February 27, 2014

もっと真剣に、自分の仕事の価値を高める。

今の私の収入の98%は数学を教えることで得ているものと思われる。
そこで、私の1時間あたりのレッスンはどのくらいの価値があるのか考えてみる。
私の年俸や家庭教師での時間給から私が実際にレッスンで得ている額は1時間につき$20~50である。随分幅があるが、私のレッスンの価値はこの範囲からそう離れたところではないだろう。

もし私に時給Xで数学のレッスンをしてくれないか、と言われたとする。
もしX=$100だったら私は喜んで引き受けるだろう。
しかしX=$500だったらしり込みしてしまうだろう。
つまり私自身、今の自分のレッスンにはそれ程の価値はないと思ってしまっているのだ。
ではXがどの程度までなら私は引き受けるのだろうか。
ちょっと考えてみたが、$150でも引き受けるか迷うだろう。$200なら辞退してしまう。
つまり私の考える私のレッスンの価値は1時間につきせいぜい$150.

まぁ、毎日8時間この率で働けるならば食っていくのに何も困ることはなかろうが、
これは妥協だと思う。
$100ならできるのに、$200だとできないってことは自分のレッスンに絶対の自信を持っていないからだ。自分のレッスンを向上させる真剣さがないのが原因なんだと思う。
自分は低賃金で働かされているって、愚痴るのは気楽なものだ。
低賃金を理由に、自分のレッスンの質を高めようとしない。
これくらいしか貰っていないんだから、多少レッスンの準備の手を抜いたっていいじゃないか!

もっと真剣に自分のレッスンがPriceless、お金では測れない、お金をいくら出してでも受けたいと人々に思われるような次元に高めなければいけない。

頑張ろう。